これからの大学改革の核、SD・職員力の飛躍|「カレッジマネジメント」から

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はじめに

「カレッジマネジメント」第199号掲載の「これからの大学改革の核、SD・職員力の飛躍」から。

著者は、篠田道夫氏(桜美林大学教授、日本福祉大学学園参与 中央教育審議会大学分科会大学教育部会委員)である。

筆者なりにまとめたものをご紹介しよう。

これからの大学改革の核、SD・職員力の飛躍

中教審で職員が議論になった意義

  • 職員の位置付けや育成が中教審の重要なテーマとして浮上してきたのは「大学ガバナンス改革の推進について(審議のまとめ)」(2014年)である。
  • 「『高度専門職』の設置や恒常的な大学事務職員のスキル向上のためのSDの義務化等、今後、必要な制度の整備について法令改正を含めて検討すべき」。この提起がなければ大学設置基準改訂にまでは至らなかった。
  • 学長への権限付与、教授会の役割の教育・研究への限定等の学校教育法改訂を方向付けたこの「審議のまとめ」は、一方で、それを実質化し真の学長のリーダーシップを確立するためには、職員の力を育成し職員の位置付けを高めることが不可欠の要素だと、当初から考えていた。
  • 今回それが初めて法改訂となり、また今後の改革の方向を明示し、現実改革を一歩進めたことを高く評価したい。

議論の焦点は何処にあったか

「大学運営の一層の改善・充実に向けた方策の必要性について(取組の方向性)(案)」の結論。

職員の資質・能力の向上

  • 職員育成の強化、SDの義務化には大きな異論はなく一致した。
  • 中長期計画の立案や推進など「戦略的企画能力」の育成を飛躍的に強化しなければならないことは委員の共通認識であった。

専門的職員の配置

  • 文科省の全国調査でも、まだ多くの大学が端緒的な取り組みで、専門的職員の定義や育成方法、役割については確立途上にあり、引き続き環境整備に努める結論となった。
  • 当初の提起が「高度専門職」だったこともあって、ここから、大学職員の専門職化とは、教育研究に関する特定分野の専門家を指し、それはドクターを出た高度な知識を持った者で、それをどういう資格や処遇で外部から採用し、また大学間で異動させるかという議論が主流になっていた。
  • 現実には外部人材だけで教育研究の質向上はできず、今いる職員を如何に専門職に育てるか、また専門的職員は教育研究の特定分野だけではない。この在り方については、まだ委員の中で一致を見たとは言えない。

職員の位置付けと役割

  • 最も重要だと思ったのは「事務を処理するために専任職員を置く」という大学設置基準第41条の改訂。
  • 職員をどう位置付け、大学組織のどこに参画させ、運営にいかなる権限を持たせるか、ここが決定的な問題。
  • 力量の形成とそれを発揮するポジションの確立、この2つはセットである。
  • 職員の位置を明確に示し、改訂の方向性が提示された点で画期的なもの。



大学職員の専門職化とは何か

専門職員に関する文科省の全国調査

  • 文科省は、2015年、専門的職員の配置状況に関わる初めての本格的な全国調査を行った。
  • これから必要な分野となるIR分野、つまりデータを分析し課題を見つけ政策提案のベースを作り得る人材や「執行部判断に対する総合的な補佐」、トップを支える人材など、特定分野の専門家というよりは必要な政策立案や改革の推進を担える力を持った総合力のある人材が求められていることが分かる。
  • 特定分野の教育・研究支援を担う専門職人材とともに、トップを補佐しつつ大学全体の政策を企画し目的達成に向けて組織し調整できる高度なゼネラリスト、大学の現状や問題点を熟知し、解決策を提案・実行できる人材が求められている。

専門的職員には 2 つの特性

  • 第1の機能がゼネラリストの要素を持つアドミニストレーター、第2の機能がアカデミック・アドミニストレーターとなる。
図 3 大学における専門的職員(専門性)の 2 つの特性
  • この2つの専門職が、連携し協働することなしに、大学教学の質向上とその推進マネジメントは実効性を持つことはできない。

力量を高め職員力を発揮するために

大学設置基準の改訂をどう読むか

  • 今回改訂された大学設置基準の第42条3項(研修の機会等)で、最も注目すべきは「職員に必要な知識及び技能を習得させ」るのは、「当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため」であり、事務処理の迅速化や効率化(もちろんこれも必要であるが)ではないという点。
  • 改訂設置基準が求めているのは、教育研究そのものの質向上や高度化支援、教育・学生支援力の育成にある。入口(学生募集、入試)から、教育・学修支援、学生生活の充実、そして出口(資格取得やキャリア形成支援)に至る学生育成への職員の関与を深め、また教員を動かして教育の質向上を作り出す職員力、教学マネジメント力が求められている。
  • SDには事務職員だけでなく教員等大学執行部も含まれるとするが、教育研究をマネジメントする大学行政管理能力の育成は、教職の幹部集団一体で行われるべきである。
  • 「計画的、組織的」な取り組み、そして「職員の研修の実施方針・計画が全学的に策定」され実効性あるものになっているかどうかが求められている。

SD、職員の育成制度の構築

図 4 SD・職員の力量向上のトータルシステム
  • 本物の力を付けるのは図4に示した力量向上のトータルシステムが必要。もちろん学内研修制度の充実は必要。
  • 人事考課制度も査定型評価では育成に効果が少ない。求められているのは企画・開発力や学生育成支援力であり、目標を明確に主体的行動を促すものに進化させねばならない。
  • 全ての人事・業務・運営・組織を育成型にする、この視点で業務運営と組織を見直すことも重要。
  • 全ての基本にOJD(オンザジョブ・ディベロップメント)、開発行動を通じた育成、即ち自らの業務の中で改革を企画提案し実践し、成果を上げること。自分の頭で解決策を考え実行管理し結果を出す、これを育成システムに組み込むこと、最後はこれしかない。これが現実を変える本物の力となる。
  • そしてそれらの基礎には、図4に示した3つの領域の基礎・専門知識がある。

役割を高め、運営に参画する

  • 職員の運営参画。
  • 今回の中教審の審議の結論「現行の事務組織は大学設置基準上単に事務を処理することが目的とされている等、事務組織及び事務職員に対する期待の高まりやその役割の重要性等に必ずしも対応するものとなっていない。事務組織及び事務職員がこれまで以上に積極的な役割を担い、大学運営の一翼を担う機能をより一層発揮できるようさらに検討を深め、その結果を法令等に反映させる」は非常に重要かつ意義がある。
  • 今回の提起が、国公私大約10万人の現職職員(事務系)の役割の拡大と成長を後押しし、経営参加、大学運営参画の飛躍的前進につながることを期待したい。
  • 大学に再び訪れる厳しい時代を見据えると、職員の力量とその役割の飛躍的向上こそが大学の生存と進化にとって必須の条件

まとめ

筆者が重要だと感じたのは以下の2点である。

  1. 職員の位置を明確に示し、改訂の方向性が提示されたこと。
  2. 専門的職員には2つの特性があること。
    ①ゼネラリストの要素を持つアドミニストレーター
    ②アカデミック・アドミニストレーター

現在、求められているのは、つぎのような人材であり能力である。

  • データを分析し課題を見つけ政策提案のベースを作り得る人材。
  • 「執行部判断に対する総合的な補佐」トップを支える人材など、特定分野の専門家というよりは必要な政策立案や改革の推進を担える力を持った総合力のある人材。
  • 入口(学生募集、入試)から、教育・学修支援、学生生活の充実、そして出口(資格取得やキャリア形成支援)に至る学生育成への職員の関与を深め、また教員を動かして教育の質向上を作り出す職員力、教学マネジメント力。

そして、教職の幹部集団が一体となり、「計画的、組織的」で「全学的に策定された実効性のある実施方針・計画」により力量を向上させなければならない。

「職員の力量とその役割の飛躍的向上こそが大学の生存と進化にとって必須の条件」

まったくそのとおりだと思う。

これらをいち早く実行したところが先行者利益(という表現は適切でないかもしれないが)を得られるにちがいない。

 

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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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