大学のガバナンス改革 経営のプロ 育てる場を―執行部に教育・研修を

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山本 清氏(東京大学教授)による日本経済新聞(2015年5月9日朝刊)からの記事。

大学のガバナンスを確立するために、大学執行部(理事長、理事、学長、副学長など)に大学院レベルの教育プログラムが必要だという内容である。

それではご紹介しよう。

大学経営の教育・研修経験が低い日本

  • 15−16年に日・米・英・独などの大学執行部メンバーを対象に国際調査を行った。
  • 日本と大きな違いがあるのは、大学経営に関する教育・研修経験
  • 日本はMBA教育や大学経営の大学院教育経験者の割合が圧倒的に低い。
大学経営に関する教育・研修の記録

出所:2016年5月9日 日本経済新聞朝刊

  • 「執行部の中に大学経営専門家が必要」と答えたのは約8割に達し、「将来の執行部を担う学内人材が育っている」はわずか3割強。当事者たちが経営人材不足を切実な課題と捉えている。
  • 東京大学教育学研究科・大学経営・政策コースの入学者の多くは若手職員や研究職志望で、副学長・理事・学部長クラスはほとんどいない。
  • これは、教員出身者を中心に大学経営を教育研究の従属物と捉える風潮が根強いためと思われる。
  • 現役の執行部メンバーを対象とした1カ月程度の短期集中プログラムと将来の執行部を養成する幹部向け大学院教育プログラムを、大学経営・政策の研究者・専門家養成コースと区分して新たに設置することが有効。
  • 大学執行部の経営能力と職員の専門的知識・能力の両方を向上させることこそが、大学の意思決定と執行という役割分担の効率化につながる。
  • その結果、執行部は管理運営に割かれる時間を対外的な業務に振り向けることが可能となり、大学の社会的な役割を高めることにもなる。

まとめ

「執行部の中に大学経営専門家が必要」「将来の執行部を担う学内人材が育っていない」ということは、「大学経営専門家がいない(少ない)」「人材を育成していない」ということを意味する。

そんな状態でこれまで大学経営を行ってこれたこと自体が不思議だが、それはとにかく、そういう意味でも、執行部への上記のような教育・研修は大事なことだ。諸外国と比べて極端に低いことからも、その必要性は明らかである。

だが、米国のように、大学経営のプロが執行部にいるようになるには今後多くの時間を必要とするかもしれない。

それよりも効果があるのは、職員をそういった教育で育てることではないだろうか。現場を経験している職員には、経営に携わる人材にとってもっとも重要な、現場での実務経験がある。

大学院教育プログラム+実務と職務経験という理論と実践で教育された職員。そういう人材こそが、これからの大学経営を担う人材ではないだろうか。

そういった人材が大学執行部で活躍するようになったとき、わが国の大学は大きく変貌するだろうと期待している。

 

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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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