『私立大学マネジメント』
「私立大学の基本的な勉強をしたい」という声をよく聞きます。そういう人にまずお薦めできるのが本書ではないでしょうか。
大学の歴史、主要業務の役割・機能、そして資料編と、満遍なく私立大学のことを学ぶことができます。新人職員からベテランまで手元に置いておくべき一冊だと思います。執筆者が現役の大学職員であることも本書の特色です。
私が所持しているのは第一法規出版から出版された平成6年版です。それをもとにご紹介していることをご了承ください。
故・孫福 弘氏が第5章「大学職員とその役割」を執筆されています。そこでこのように述べておられます。
歴史的に見れば、今日に至るまで職員のアイデンティティは十分に満たされることが少なかったのも事実である。
その最大の要因は、基本的には教員自治的大学運営体制のもとで、個人の能力と努力にかかわらず上級レベルの意思決定と執行管理に参与できない閉塞的な職務環境に根ざしている。
目指すべき目標は、学者のギルド的自治をベースにしたボランティア的アマチュア主義とも、営利企業の経営理論とも異なる新しい大学運営の手法を編み出すことであり、それはまず、日頃経験的に蓄積した大学運営の実践的知識を意識化し理論化し体系化する作業に始まるのであろう。
と述べておられます。これこそが「大学運営2.0」とも言うべき、これからの新しい大学運営のことでしょう。
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!
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