「『事務』職員から『大学』職員へ」第15回目です。
この記事は、福島一政氏の第1回高等教育推進センターSD講演会(関西学院大学)での講演をご紹介するものです。
出典:関西学院大学高等教育研究第2号(2012年3月)
今回は、「プロフェッショナルな大学職員像」です。
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プロフェッショナルな大学職員像
福島氏は、以下の7つを挙げています。
備えるべき7つの能力
- コミュニケーション能力が高い
組織や職種の壁を低くした議論、インフォーマルな関係、リスペクトの関係を意識的につくり出せる。
具体的には飲み会などで、コミュニケーションをはかるなど。 - 戦略的プランニングの手法を持つ
ミッション・ビジョン実現のために、現状分析、環境分析、マーケティングなどの基礎的な技法がある。
ミッションを実現するためのいろいろな技法のこと。 - 政策を実現できるマネジメント能力がある
企画案を実際に実現する力がある。コスト感覚、プレゼン能力、組織できる力量、調整能力などがあること。
調整能力とは、目標があって、そこに向けて調整してゆくこと。 - 新たな価値創造ができる
視野が広く、相対化できる情報の質量があること。
自分がやる範囲だけだとダメ。他大学を見たり、企業や社会を含めて他所の世界を見る必要。 - 複数の業務領域での知見がある
経営・管理・企画・教学・連携・生涯学習などの実際の経験と知見があること。
経営(財務、人事、総務、企画)、教学、社会連携(社会連携、研究)の3部門を若いうちに経験しておくと将来違う。 - 教職員・学生から信頼される人格と大学リテラシーを含む教養が豊か
単なる頭の良さや「腕力」の強さではない、大学人らしい品格を持つ。
大学で働いているのだから、「大学とは何ぞや」ということが分かっている人でないとダメで、そうしないと信頼されない。 - 使命感と勇気
問題があれば、強い反対があっても果敢に改革・改善に取り組む姿勢があること。
これがないとプロフェッショナルとして成り立たない。新しいことをやろうとするわけで、反発があるのは当たり前。反発を覚悟して、使命感と勇気を持って取り組むほかはない。
2、3、4はいまやすべてのビジネスマンに必要とされる能力だと思います。オールドエコノミーからニューエコノミーへの移行に呻吟しているわが国にとって、こういう能力を備えた人材は強く求められているでしょう。
6は大学職員にとくに求められることだと思います。
教養が豊かで、大学人らしい品格を持つことは、大学全体の品格にもつながるのではないでしょうか。
⇒第16回:リーダーの規範となる行動 「事務」職員から「大学」職員へ(16)(最終回)を読む。
【目次】「事務」職員から「大学」職員へ 福島一政氏の講演から
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!
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