先日参加した、大学行政管理学会の「研究・研修委員会 第1回推薦図書部会講演会」で発表された中元 崇氏の資料にこんなエピソードが紹介されていました。
実践女子学園井原 徹理事長の言。
「大学職員として働き始めた頃、出勤すると毎日のように青焼きのコピー作業をしていました。当時のコピー機(湿式複写機)は、手間暇がかかり大変でした。また、早稲田では人事異動の際、誰がどの部署に異動になったのか個人の履歴管理カードに全て転記するのですが、その履歴の書き込みも全て手作業で行なわれていました。そのような仕事は、基本的に新人職員が担当していたので、私は大学職員の仕事がこれほどルーティンワークに終始することに嫌気が差して、もう辞めてしまおうと考えていたのです」
出所:井原 徹(2011)「これからの職員業務と職員〜業務標準化と職員流動化を手掛かりに〜」、『大学職員ジャーナル』第15号、pp.2-15
以下は私の経験です。1980年以前のことです。
入職直後、図書館に配属されたのですが、初日に教員の図書館長から「これコピーしといてくれる?」と頼まれました。それは、恐らくは自分の研究に使うための単行本。「自分に頼むのも筋違いだと思うが、まあこれぐらいはいいか」とコピーして渡すと、なんと「これもやっといて」とまた1冊。
味をしめたのか、それからは連日そんな調子で頼んでくるのでした。まだ右も左もわからない新人職員でしたので、やんわりと体よく断る術ももたず、好き放題こき使われていたのでした。
相手にしてみれば、ベテラン職員に頼めば断られるのが分かっているので、ここぞとばかり新人を使ったのだろうと思います。いまでは笑い話ですが、当時は大変でした。本来の仕事があるので、コピーばかりやっていられないからです。
教員の世界は、会社員以上に上下関係が厳しく、人間関係にも気を使う世界だそうです。この教員も大学院時代に、指導教授や先輩の院生にこき使われ、専任教員になった途端に人に同じことをしていたのかもしれません。そうでないとすれば、人の気持ちが理解できない、残酷で非常識な人間ということになります。
いまでもこのような教員がいるのでしょうか。
私の勤務先では、いわゆるモンスター教員はほとんどいなくなりました。社会人教員が多くなったこともそれに拍車をかけているように思います。
私の場合、管理職に相談することはありませんでしたので、それが反省点です。このような理不尽な立場に追い込まれている場合には、管理職に相談し、教員に断りを入れてもらうのがもっとも良い方法だと考えます。
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