梅雨真っ盛りですね。きょうの大阪は小雨がぱらついています。湿度は高いですが、最高気温は23度と予報されていますので、過ごしやすい一日になりそうです。
さて、今回から「IDE現代の高等教育」のNo.569を精読していこうと思います。この号のテーマは「大学職員像を問う」です。
冒頭、編集部によるこの特集の趣旨について、「大学はいま、個々の教員の授業や研究の集合ではなく、大学の全体がシステムとして教育・研究を高度化されることが求められています。その中で、新しく要求される大学職員像は何か、またそうした職員を形成するには何が必要か、を論じていただきます」とあります。
各論稿を精読しながら、これからの大学職員像について考えてみたいと思います。
「近未来の大学職員像」上杉道世(大正大学 理事長特別補佐・質保証推進室長/大学マネジメント)
要点は次のとおりです。
2.大学の仕事の担い手
これからの大学職員は、
- 一種の専門職となっていく。
- プロジェクトをマネジする専門職が不可欠
- 専門的な教育訓練又は経験を経た者による、きちんとした情報と専門的な知識・経験に基づく経営判断が必要であり、それができる人と集団が経営に当たるようになる。
3.大学職員という職業
- これからしばらくは過渡期であり、従来型の職員が多数いる中で、近未来型の職員をどう養成・確保し、役割を発揮してもらうかが工夫のしどころ
- これからは創造性の発揮や企画・提案・実行力が重要で、世の中の多くの職業がこの方向へ向かっている。
4.多様化する大学職員の類型
(1)特定の分野の専門性を高めていく職員
(2)多様な業務を経験しつつ組織のリーダーとなっていく職員
大学院教育や他の組織や機関での経験や組織外との広い交流などが必要であり、
人材育成の投資を惜しむべきではない。
(3)定型的な業務を着実に遂行する職員
従来の仕事を見直してルーティン業務の量を減らしていく。
まとめ
著者によれば、近未来型の大学職員は上記のごとく以下の3つになります。
(1)特定の分野の専門性を高めていく職員
(2)多様な業務を経験しつつ組織のリーダーとなっていく職員
大学院教育や他の組織や機関での経験や組織外との広い交流などが必要であり、
人材育成の投資を惜しむべきではない。
(3)定型的な業務を着実に遂行する職員
従来の仕事を見直してルーティン業務の量を減らしていく。
(1)について
高度専門職についての議論が昨今盛んです。URA、IRer、産学官連携コーディネーター、アドミッションオフィサー、カリキュラム・コーディネーターなどが思い浮かびますが、大学教育部会の資料(1−1)によれば「管理運営系」、「教学支援系」、「学生支援系」それぞれにいろいろな職種があります。 今後はその育成と処遇について、明確な方向性が欲しいところです。
(2)について
わが国では非営利組織における人材育成はされてこなかったそうです。大学経営に特化した教育機関も今後出てくるかもしれません。
(3)について
若手職員や非正規職員が担当していると思いますが、仕事を見直し、業務量を減らすためには、現場の主体性に加えマネジメント側の見識と力量が強く必要になると思います。
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