『職業としての大学教授』から
『職業としての大学教授』潮木守一(中央公論新社)を読んでいると、かなり憂鬱な気分になります。
- 日本の大学教授が世界でも稀なぬるま湯にいる。
- 大学教員に占める教授の割合は、欧米では13〜25%にすぎないのに、日本は40%。日本の大学では、ほぼすべての教員が年功序列で教授に昇進する。
というような具合だからです。
潮木氏は、「これほどの悪平等はいったいいつまで許されるのだろうか」と嘆いておられます。

そして、その原因を以下のように述べています。
ひとえにすべての昇進人事、採用人事が共通な基準を欠いたまま、外部の目に晒されることなく、仲間うちの評価で行われてきたからである。
また、このことへの課題として、
日本は大量の大学教員を生産したが、はたして親たちの期待に応えるだけの教育をしてきたのかが問われている。日本にはフランスの大学審議会のように全国的な水準で教授の質を管理する第三者機関がない。あるいはドイツ、アメリカ、イギリスのように、大学全体、あるいは学会全体が第三者機関となって教授の質を管理する仕組みになっていない。それぞれの大学の教授会が厳格な資格審査をしていると自己弁護してみても、多くの人々は信用していない。
いかにして第三者から信頼される自己管理方式を作るかが喫緊の課題である。
と述べています。
先進国で大学がレジャーランド化しているのは、日本だけだと言われます。ここにもその大きな原因があると考えざるを得ません。
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!
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