『未来形の大学』市川昭午著(玉川大学出版部)は名著である。
現在大学人が直面している問題について、数多くの示唆を与えてくれる。
読書ノートをご紹介しよう。
Ⅰ章 大学とは何か―機能の多様化と理念の喪失
4.大学の独自性
大学にしかできないこと
・研究と教育を統一的に実施すること。
・しかし、今日の一般的大学において、これはどこまであてはまるのか。そこでいう研究とはいかなる意味なのかが問題となる。
・研究と教育が別であり、両者の分担が可能だとすれば、研究と教育の不可分論は二つの役割の相克を隠すだけであって、けっしてそれを解決するものではない、という見方も成り立つ。
「研究と教育」の統一
・大学における教員の「研究活動とその成果の発表」が即「学生に対する研究指導と講義の内容」でありうる場合に限って、「研究と教育の統一」が成立する。
・研究と教育の統合が成功したのは、研究大学。
・大衆社会の台頭が学生数の激増と大学の学校化をもたらし、一流大学においても研究と教育の一体化はますます現実に即応しないものになってきている。
・大学のもう一つの独自性は、研究・教育が総合的に行われているところ。
・研究と教育の統一以上に難しいのは諸学の統一であり、科学の分化発展が著しい今日、それはすでに不可能。
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- 作者:市川 昭午
- 出版社:玉川大学出版部
- 発売日: 2001-04-20
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!
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