中小書店が軒並み店じまいしている現在、その名が全国に知られる京都恵文社は、そんな中でもお客が絶えない書店です。
その京都恵文社から独立し、あらたに誠光社という書店を開店される堀部篤史氏のことは先日ご紹介しました。
【ブログ更新しました】
「あの京都恵文社の堀部篤史さんが独立して『誠光社』を開店」
書店は街の灯。あらたなビジネスモデルで出発する店舗だそうで、応援しています。https://t.co/9hzhysyGwU— 瀬田 博 (@starofuniv) November 2, 2015
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「数値化されない価値」がとても大事
その堀部氏へのインタビューが「航」のサイトに掲載されています。
恵文社一乗寺店から独立し、11月に誠光社という新しい書店を始める堀部さんへのロングインタビューです! 〈マガジン航〉京都の「街の本屋」が独立した理由〜堀部篤史さんに聞く【前編】 https://t.co/vOSoLMipIT pic.twitter.com/4orYihgHZD
— magazine_k (@magazine_k) October 31, 2015
ここで、堀部氏はこう述べています。
「安くて、すごく価値がある」「非常に便利である」等の消費者的な振る舞いによって、商品やサービスはすべて数値化されています。どれだけ得したか、どれだけ安くてどれだけ量が多いかという数値が、すべての商売の価値基準になっている。でも、じつは「数値化されない価値」がとても大切なんです。消費者として振る舞うのではなくて、お客としても「損得ではないもの」の良さを大切にする。お店の側も、そうした価値観と姿勢をお客に伝え、浸透させることができるところが長く続いていくのだと思います。
システムや状況の表層だけをみていれば本屋は減少する一方であると。そりゃそうですよね。客を「消費者」としてしか考えず、本を「消費財」としてしか考えてないわけですから。そうではなく、店がいいと思う本を紹介したい、お客様の求めるものだけでなく、売れなくてもいい本があるよということを伝えたい。そんな元来の本屋のあり方を続けているから恵文社一乗寺店のような店が特殊なものとして語られるのですが、反対ですよね。当たり前のことをしているだけなんです。
たとえ縮小している市場であっても、お客様を「消費者」、商品を「消費財」として考えるのではなく、自分たちがいいと思う商品を紹介する。そうした価値観と姿勢を伝え、浸透させることができるところが長続きする、というわけです。
奇を衒うことなく王道を
わが大学業界でなすべきことは何でしょうか。
数々の大学改革がなされていますが、金太郎飴状態になってはいないでしょうか。
それぞれの大学の「数値化されない価値」と姿勢を学生に与え続けること。これこそが、その大学が選ばれるための王道でないでしょうか。
特殊なものと語られている数少ない大学がありますが、そこではきっと、そのような価値を与えているからこそ評価されているのではないでしょうか。
自分の大学にしかない「数値化されない価値」と大学側の強い姿勢を学生に伝え、浸透させる。奇を衒うことなくそれを続けることで長く経営を続けていくことができる。あらためてそう考えたのでした。
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