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はじめに
「『事務』職員から『大学』職員へ」第8回目です。
今回は、「大学改革が進まない理由―学生が集まりそうな学部・学科を新設すればなんとかなるという幻想にとらわれすぎ―」です。
この記事は、福島一政氏の第1回高等教育推進センターSD講演会(関西学院大学)での講演をご紹介するものです。
出典:関西学院大学高等教育研究第2号(2012年3月)
大学改革が進まない理由―学生が集まりそうな学部・学科を新設すればなんとかなるという幻想にとらわれすぎ―
人材育成目標に沿った学部・学科を
学部・学科新設幻想について福島氏は、
- 大学の人材育成目標に沿ったものなのかということがちゃんと考えられていないといけない。
と述べています。
学部再編、学部・学科新設は、近年も衰える気配はないようです。
その目的は、定員充足のためであり、2018年問題への対応でもあるのかもしれません。
「大学の人材育成目標に沿った」学部・学科(あるいは学部再編)であれば、大学は従来どおりの一貫した教育が行えます。
しかし人材育成目標に沿っていなければ、その学部・学科は学内で異質な存在となります。
そのことの良否については議論の分かれるところだとは思いますが、個人的にはやはり良いことではないように思います。
志願者数より大事なこと
志願者数を競うメディア報道も多くなりました。
これはあながち悪いことではないと思います。
なぜなら定員充足問題こそ、いまの日本の大学の最大の経営問題であり、志願者数の多寡はそのシンボルだからです。
中小規模の大学には関係のない話だとしても・・・。
反面、それよりもはるかに大事なことがあると考えます。
それは福島氏も言われているように、それぞれの大学の人材育成目標を明確にし、それに沿った学生に入学してもらうということです。
「人材育成目標」は、建学の精神、ミッション、3つのポリシーなどと言い換えても、あるいは組み合わせてもよいかもしれません。
学部・学科には流行期と衰退期があると言われます。
一時の流行で人材育成目標に沿わない学部・学科を設置すると短期的には功を奏するかもしれませんが、長い目でみればあまり良い結果には至らないように思います。
⇒第9回:大学改革が進まない理由―職員に権限が無さ過ぎ― 「事務」職員から「大学」職員へ(9)を読む。
【目次】「事務」職員から「大学」職員へ 福島一政氏の講演から
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(3) - 2018年12月25日
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(2) - 2018年12月20日
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(1) - 2018年12月19日