『東京ジャズメモリー』(文芸社)、『昭和・東京・ジャズ喫茶』(DU BOOKS)に続く、本書は第3弾である。ちなみに著者は日本人である。
往年のジャズ・ファンのためのジャズ喫茶行脚だが、わが国特有の「ジャズ喫茶」という文化についての貴重な記録にもなっている労作である。
それではご紹介しよう。
『ジャズ喫茶が僕を歩かせる 現役ジャズ・スポットをめぐる旅』シュート・アロー著(DU BOOKS)
ジャズ喫茶行脚
筆者の学生時代はヒマがあればジャズ喫茶にたむろしていた。
古本屋かジャズ喫茶にいるのが日課だったし、それ以外のことはしたくなかったのである。ノンポリ学生にはそんな時代だったのかもしれない。
地元大阪はもちろんのこと、京都、神戸、そして東京まで足を伸ばしたこともある。
本書を読むと、じつにその楽しさがよく伝わってくる。いまでも現役で営業しているジャズ喫茶を訪問することは、けっこう楽しいもので、じつは細々ながら筆者もやっていることなのだ。
旅に出ると探すのが、その日の夕食場所(たいていは居酒屋)。そしてカフェ、喫茶店だが、それがジャズ喫茶であればなおよい。
近年は語れるほどのことではないが、一関のベイシー、神戸のM&Mを訪問した程度である。それでも機会があればもっと訪れたいと思ってはいるのである。
資料を駆使した丁寧な記述
そういうわけで積ん読していた本書、就寝前にすこしづつ読みはじめ、数日かけて読了した。
往年のジャズ・ファンであれば楽しめること請け合いである。2点も続編が出版されるということは、好評であるからにちがいない。
本書で紹介されているお店は以下のとおり。
ブルーノート(京都)
海(埼玉・朝霞)
メグ(東京・吉祥寺)
ロンパーチッチ(東京・中野)
トゥルネ・ラ・パージュ(静岡・浜松)
ピーター・キャット(国分寺/千駄ヶ谷)
JAZZ Olympus!(東京・神保町)
グッドベイト(愛知・知立)
ホワッツニュー(大阪・梅田)
ディア・ロード(大阪・放出)
ユリ(愛知・名古屋)
村上春樹氏の経営で有名なピーター・キャットを除けば、すべていまだ現役のお店のようだ。
筆者が行ったことのあるところは京都のブルーノート一軒のみでお恥ずかしい次第である。
このなかで行ってみたいお店は、まず地元のディア・ロード。つぎが、約3万5千枚のレコード・コレクションと80冊のレコードリストがあるというグッドベイトである。
ここらあたりから旅に出てみよう、と想像するだけでワクワクしてくる。
わかりやすい文章で楽しく読むことができるが、多くの資料を駆使して丁寧な記述がなされていることは、見逃してはならない点であろう。
最後に
ところで、著者はジャズ・スポット・ウォッチャー・ソサエティ(JSWS)代表ということだが、この団体ググっても出てこない。可能であればぜひ入会したいのだが、どうすればいいのだろう?
【参考】筆者がジャズ・スポット探訪の参考にしているサイト
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(3) - 2018年12月25日
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(2) - 2018年12月20日
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(1) - 2018年12月19日