『未来を変えた島の学校―隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦』【書評】

スポンサードリンク

未来を変えた島の学校隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦by 山内 道雄、岩本 田中 輝美 (東京: 岩波書店,2015)

胸を打つエピソードが多く、何度も泣きながら読みました。

隠岐郡海士町に興味をもったのは、「UIターンが多く、多くのメディアが取材に行っている」と知人から聞いたからでした。

それからは『僕たちは島で、未来を見ることにした』株式会社 巡の環 著(木楽舎)や『離島発 生き残るための10の戦略』 山内 道雄 (日本放送出版協会)を読んで、いつか行ってみようと考えていたところ、本書が出版されたのでした。

未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦

未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦

  • 作者:山内 道雄,岩本 悠,田中 輝美
  • 出版社:岩波書店
  • 発売日: 2015-03-25

島前高校魅力化プロジェクト

過疎に悩んでいた県立高校をみごとに蘇らせた「島前高校魅力化プロジェクト」

本書ではその立役者である山内町長と岩本 悠氏、関係者、生徒、そして島民の奮闘が活写されています。

第1回観光甲子園における「ヒトツナギ」でグランプリを受賞、学習センターを開設したりと苦労と苦難を経験しながら、その過程で学生が成長していく姿を読むのは感動的です。

隠岐島前高校に出前講義に来た経験から、町の財政課長・吉元氏から高校の立て直しを依頼された岩本氏が島民から反発を食らっているのを見て、吉元氏は次のように戒めます。

  • カタカナ語は、この島では通じんけん
  • 会の目的や意味は、はじまる前にわからなくても、終わったあとでわかるもんだわい
  • 会の開始は主催者が決めるが、終わりは、そのが決める
  • 年配には、説明や説得ではなく、相談やお願いという姿勢で臨まんといけん
  • 非の打ち所がない話をするより、課題や困っていることを伝え、同情や応援をもらった方が得
  • すごい人と思われるより、いい人間だと思われることが大事
  • 効率や生産性では測れないものがあるから、一見ムダと思うことを大事にせんといけん
  • 一人では弱い。最低三人
  • トイレには神様がいるから、常にきれいにせんといけん
  • 家の中に鬼が来るから、嫁には逆らってはいけん

いや、勉強になりました。

プロジェクトの成功要因

同プロジェクトの成功要因は

  • 学習センター
  • 「三方よし」という考え方

だと感じました。

ちなみに「三方よし」とは、生徒にとっての「やりたいこと」「できること」「すべきこと」を考えぬくこと。

そして、勝ち負けではなく、その生徒を中心に「学校×センター×家庭」が垣根を越え、連携、協働し、皆にとって最善の取り組みを目指そう、という理念で、その根本は他者理解にある、とあります。

全国に広がりつつある高校魅力化プロジェクト

高校魅力化プロジェクトは、いま全国に広がりつつあるそうです。

長野県の「白馬高校魅力プロジェクト」もそのひとつです。高校への国内留学もこれからはひとつの選択肢になってくるのでしょう。寮生活による全人教育はこれからのキーワードかもしれません。

岩本氏は、「託された願い」という文章のなかで、「凝った教育プログラムや優れた教育ツールが彼らの想いを育てたんじゃない。結局、人が人を育てているんだ」と述べています。

本書を読み、何か大きな胎動のようなものを感じました。それは・・・希望の光かもしれません。

教育関係者の皆さまには強くおススメしたい良書です。

The following two tabs change content below.
大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

スポンサードリンク