読売新聞専門委員・松本美奈氏の記事「〈コラム〉10年連続で志願者数が増え続けている大学」から。
テーマは「大学の情報公開」である。
それではご紹介しよう。
先は遠い大学の情報公開
・国が法令改正までして推進を迫って久しいが、まだ先は遠い。
・「非公開」が目につくのが、入試方法別の退学率。
・一概に大学に非があると言えない項目でも公開が進まない。
・受験生がキャンパスライフを具体的に想像できる仕掛けになっていない。
10年連続で志願者数が増え続けている福岡工業大学
情報公開に積極的
・公開に積極的な大学の一つが福岡工業大学。
・パンフレット類でも、定員充足率や留年・退学者数のほか、第一志望なのか、滑り止めなのかといった受験生側の意識まで一目でわかる「志願者・合格者・入学者」データも掲載している。
風通しの良さが学生も変えた
・前身の福岡高等無線電信学校が68年に破産。73年に福岡工業大学として再出発。
・再建の諸についたのは、元「福岡ダイエーホークス」球団社長の鵜木洋二理事長が就任してから。
・「危機感の共有」を重視し、あらゆる経営情報を公開し、問題意識を持つことから始めた。
・職員の高校訪問の際にも、受け入れた卒業生のその後を包み隠さず伝えた。
・風通しの良さが、教職員だけでなく学生も変え、自主的に学内外の清掃活動をしたり、見知らぬ客人にあいさつするようになった。
・今春は10年前の2倍以上の志願者となった。
・送り出す高校も「まったく変わった。学生を育てられる、良い大学にしようという志を感じる」と驚くまでになった。
まとめ
記事の最後に松本氏は、こう述べている。
だれのための情報公開か。
改めて原点に立ち返れば、答えはおのずと明らかだろう。
大学の誠意がいま、問われている。
「地方でもっとも成功した大学」といわれる金沢星稜大学を彷彿させる内容だが、それぞれキャリア教育と情報公開といった手段の違いはあっても、目指すところは同じなのであろう。
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(3) - 2018年12月25日
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(2) - 2018年12月20日
- 2040年代における大学の役割と使命 大学行政管理学会(JUAM) 特別シンポジウム(1) - 2018年12月19日