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はじめに
某芸能人(?)の経歴詐称で話題になったテンプル大学。米国ペンシルベニアの州立大学で、キャンパスはフィラデルフィアにある。
その日本キャンパスがテンプル大学ジャパンだ。文部科学省より「外国大学の日本校」として正式に指定されているが、取得できるのは米国の学位で、日本のそれではない。
学部生が史上初の1,000人に
そのジャパンキャンパスの学部生が1,000人に達したと、同大学のプレスリリースが伝えている。
2016年春学期に1,000名を記録しました。学部生数が1,000名に達するのは、1982年の日本校開校以来初めてのことで、過去数年の急速な成長トレンドを反映しています。
またその理由が、以下のように述べられている。
文部科学省や日本の大学は、国際リベラルアーツ系の英語で実施される学位取得プログラムの更なる開発の必要性を強調してきています。
国際リベラルアーツ教育の重要性が理解されると同時に、国内の高校生や保護者にもTUJがまさにその教育を日本で提供する数少ない大学のひとつだという認識が高まっています(学部生の約40%は日本人)。
同時にTUJは日本の高等教育コミュニティにおいても、大学教育の国際化を積極的に促進する姿勢が評価され存在感を高めています。
まさにSGU(スーパーグローバル大学)をはじめとする日本の大学が目指している「国際化」である。
テンプル大学ジャパンとは
学部
入学前に専攻学科を決める必要はなく、入学後2年後期までに決めて、3年から専攻することになる。
専攻学科
アート 、アジア研究 、教養 、経済、国際関係、国際ビジネス、コミュニケーション、心理研究、政治、日本語、2+2留学プログラム(米国と日本で2年づつ学ぶ): コンピューターサイエンス学科
大学院課程
TESOL (修士号)・応用言語学 (博士号)
エグゼクティブMBAプログラム (経営学修士号)
ロースクール (L.LM.学位 / 修了証書 / C.L.E.)
出願資格
学業成績
5段階評価で評定平均3.0以上、4段階評価で評定平均2.0以上であること。
英語能力
TOEFL iBT 71点以上
TOEFL PBT 525点以上
IELTS 5.5以上
または、PTE 45点以上
- TOEFLがiBT 45点以上〜71点未満
- TOEFL PBT450点以上〜525点未満、IELTS4.0以上〜5.5未満
の場合、条件付きで学部課程へ入学できる「Bridge Program」が提供されている。
- TOEFL iBT 45点未満
- TOEFL PBT 450点未満、IELTS 4.0未満
の場合、
大学留学のための準備課程「アカデミック・イングリッシュ・プログラム(AEP)」が提供されている。
授業料
フルタイムの場合、入学時納付金合計は1,267,300円。入学年には、このほかに夏学期、秋学期の授業料が必要。
■サンプルケース1(4年で123単位を取得)
秋・春学期の各学期に15または16単位を取得。夏学期は休学する場合
1〜4年:1,608,800円(年)
4年間合計:6,435,200円
■サンプルケース2(3年で123単位を取得)
夏学期を休学せず、秋・春・夏学期に15または16単位取得する場合
1・2年:2,413,200円(年)
3年:1,608,800円(年)
4年間合計:6,435,200円
各種奨学金が用意されている。
これこそが本来の大学授業
同大学のウェブサイトにある、「参加型授業」と「授業で何が求められるか」についての説明。
これこそが本来の授業のありかただと思うのだが…。
参加型授業とは?
- 授業の前に、リーディングやリサーチの宿題に取り組み、課題について理解を深める。
- 授業で講義や他の学生の意見を聞き、ディスカッションをして自分の考えを発展させる。
- さらに、リサーチやグループワークを行い、考えをまとめていく。
- 自分の意見や考えを他者に伝える。時に1枚のレポートまたは30枚の小論文にまとめる。プレゼンやスピーチを行う場合もある。あらゆる形で効果的なコミュニケーションをとるための能力を養う。
アメリカの大学の授業では何が求められるのか?
- 教授に挑戦 (challenge) しよう
- どんどん質問をしよう
- 自分の意見を持とう
- 宿題は多いが、しっかり取り組むことが大切
- 授業1時間にあたり、最低3時間は授業外で勉強しよう
- 間違いは怖くない。間違いから学ぼう
「質的充実」はこのように、学生へ語りかける言葉で、なおかつ平易な表現でなければならないのではないか。
まとめ
日本の大学には魅力を感じない。さりとて欧米の大学へ留学するつもりもない。
こういう人たちにこの大学は選択肢になりうる。
筆者がいま受験生であれば、ICU、早稲田大学国際教養学部、上智大学、国際教養大学とならんで志望校のひとつにするだろう。
そして、学部は日本キャンパスで、大学院は米国キャンパスで学ぶようにするだろう。
ところで、帰国子女ではない日本人の受験生にとっての関門はやはり英語力だろう。
そして高い授業料であろう。
地元の大学へ進学する受験生が多くなりつつあるといわれる現在、この大学に入学できるのは、経済的に恵まれた受験生に限られるかもしれない点が残念だ。
名だたる有名企業や外資系企業に就職していたり、充実したインターンシップが行われていることもあまり知られていないようだ。
それは裏返せばチャンスともいえるわけで、今後同大学が一過性の人気で終わることはないように思われるのである。
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