パリのレストランなどでいい席に案内してもらえなかったという話を聞く。
奥の席に日本人(アジア人)が固められるという。
なぜそういう扱いをされるのか?
階級社会であること、白人を優先して特等席に案内することなどがその理由とされる。
ここでは、わずかな個人的経験をもとに、そういう扱いを受けないための防衛策を提案したい。
肌の色は変えられないから、これがかならずしも成功するとはかぎらない。保証はできないが、すこしでも歓迎してもらえる可能性があるという意味でお読みいただきたい。
そして、このことは日本の高級レストランや高額飲食店などでも同じようにに言えることだと思うのである。
ギャルソンに上から下まで観察された
もう20年以上前の話になるが、パリの2ツ星レストランへ夫婦で訪問したときのこと。
入店すると、ギャルソン(ウェイター)がわれわれを上から下まで観察し、そのあと店内中央の壁にかかった絵画の前の席に案内してくれたのだった。
日本人客は奥の席へ一箇所に固められると聞いていたので、あらかじめ覚悟はしていたからちょっと意外だった。
強いてその理由を考えてみると、あらかじめ用意しておいたものがあったのである。
それは洋服である。
奥さんはドレスに真珠のネックレス、筆者はジャケパン(ジャケット&パンツ)にネクタイ、そしてピカピカに磨いたシューズ。こういうときのために持参していたのだった。
まわりはすべて白人だった。隣の若いカップルはカジュアルなファッションで、男性などはTシャツにジーンズといういでたちだったが、これはまあしょうがない。
そうして楽しいディナータイムを過ごすことができたのだった。
奥さんなどはイケメンのギャルソンに「おいしかったですか?」などと声をかけてもらい、おまけに帰り際に優しく上着を着せてもらったりして、いたくご機嫌だったことを覚えている。
おまけに「タクシーをお呼びしましょうか?」とまで尋ねてくれて、店を出るまでサービス満点だったのである。
ドレスコードが大事
このレストランには日本人が来ていた。
彼らは中2階に固められていた。われわれのいた1階からはよく見えた。
帰るときは1階を通るから、その服装を見ることができたのだが、ほとんどの人が観光しているときの服装のままだったのである。
男女ともジーンズもしくはカジュアルなパンツ、ポロシャツやカジュアルなシャツ、トレーナー、そして足元はスニーカーといったいでたち。中年男性のお約束であるウェストバッグ…。
これでは特等席に案内したくともできないに違いない。
われわれは一旦ホテルに戻り、シャワーを浴びて着替えてやってきたのだった。
高級店では客の身なりが見られている?
日本でも同様だと思う。
そういった飲食店に知り合いはいないから、あくまで想像だが、客の身なりを見て席に案内していることは想像に難くない。
高級ホテル、高級レストラン、高額和食・鮨店などを訪問する際には心がけておくべきことだと考える。
頭のテッペンから足元までの身なり、態度などすべてが観察されているのだ。
客だからそんなことに気を使う必要はないのではないか。外国人観光客はラフな格好で闊歩しているではないか。
そのような意見があるかもしれない。
だが、そのような人たちがちゃんとした扱いを受けているかどうかは別の問題かもしれないのだ。
TPOに応じた身なりや態度は客としてばかりでなく、ビジネス・シーンでも重要なことだと思う。
言わないだけで、人は厳しく観察しているのだ。
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