はじめに
思わず筒井康隆を思い出してしまうタイトルだが、冗談はとにかく、久しぶりに胸のすくようなエントリーを読んだ。
「スーパーグローバル学部増田准教授」からのご紹介。
筆者なりにまとめた内容をご紹介しよう。
Fランの逆襲
- 在籍する学生の学力差を拡大させる最大の要因と言えるのは推薦入試やAO入試であるが、今や多くの私立大学に加えて国立大学においても導入が進められ、またさらなる拡充が求められてもいる。
- 地方に立地するFラン大学においては、経済的な理由によって自宅に近い大学を選ばざるを得ない学生の増加や、各種奨学制度の充実にともなって、在籍する大学生の上位層は近隣の国公立大学に在籍する学生たちと比べても遜色はなくなっている。
- 他方、下位層の学生たち同士で比較すると、たとえ全国に名のしれた有名大学と言えど、AO入試を導入しているあらゆる大学の下位の学生たちというのは、Fラン大学にいる学生の下位層と差はないだけでなく、変にプライドが高いだけに、一層タチが悪いのである。
- 地力のある地方の(Fラン)大学では教育のレベルも教員のレベルも一定以上の水準にあり、学生を伸ばす力という点においては、最初からそれなりの知識と学力があることに依存している国公立大学や有力私立大学などに比べれば遥かに優れている。そして、そのような大学に入学した学生が、ふとしたきっかけで飛躍的に成長する姿を見ることは珍しいことではない。
- Fラン大学など潰してしまえという声も多く聞かれるし、ある面でそれは正しい部分もあるのだが、いわゆるコミュニティカレッジのような役割を果たしていて、そう簡単につぶしてしまうには惜しい大学もまだまだ多く存在しているのである。
- 一部の地方国立大学は、その存在意義や地域での役割を、そうした大学と共有することになることは避けられない。
- その時、ガチンコ勝負で競争で負けるのは、それなりの知識や学力をもった学生の入学を前提に安住してきた地方国立大学のほうであっても決して驚きはしない。そして公立大学を核として、地域への人材輩出を最大のミッションに掲げた再編へと向かわざるを得ない国立大学は確実に出てくることだろう。
まとめ
個人的には、上記のような下克上が起これば喜ばしいことだと考えている。
教育力こそが大学の評価であるべきだからである。
「地方の大学から始めて、その改革の成功事例を全国に広めていく戦略」について述べた人がいたことを覚えているが、これがそのひとつの事例であるかもしれない。
慧眼というべきであろう。
こうして見ると、AO入試、推薦入試が、学力を担保できない入試制度であることは、ほぼ証明されたのではないかと感じるのだが、このことについての研究が待たれるところである。
それにしても、AO入試、推薦入試は罪深い入試制度と言わざるをえない。
これらの入試を「大学入試の多様化」と称して始めた大学。そして「流行」のようにそれらを受け入れた多くの大学に、筆者は以前から強い怒りを感じている。
学生の学力差を拡大させる最大の要因であるばかりでなく、一国の大学入試制度を複雑きわまりない滅茶苦茶なものにした罪は大きいのではないか。
大学だけがその負担をするならよい。
だが、多大な迷惑を蒙ったのは高校の進路担当者であり、何よりも受験生である。
そのツケが、このエントリーではわかりやすく説明されている。
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!
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