3つのポリシーをどう策定するか(3)―具体的な策定方法

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「3つのポリシーをどう策定するか」と題した論稿が「教育学術新聞」の2631号から2634号の4回にわたって掲載された。

著者は、沖 裕貴氏(立命館大学教授・日本高等教育開発協会会長)である。

3回目の今回は、「具体的な策定方法」をテーマに、筆者が重要だと感じた内容をご紹介しよう。

具体的な策定方法

ディプロマ・ポリシーの意味と役割

  • ディプロマ・ポリシーは、学則や学部則等に定められた条文(人材育成目的)とは異なり、学生や受験生に理解されやすいよう、また、その達成度の評価がしやすいよう常にブラッシュアップを図ることを恐れてはならない。
  • 受験生や学生に提示するそれらは常に見直しが可能であり、科目の到達目標の改訂や「カリキュラム・マップ」の変更とともに、見直し自体が内部質保証システムのCheck機能が働く大学の証となる。
  • ただし、それらを変更する際には、全学的な教学会議等で議論、周知徹底し、履修要綱や入試要項等も併せて改訂することを忘れてはならない。

ディプロマ・ポリシーの書き方

  • 学生が卒業時に最低限身につけるべき資質・能力を目指すべき学修成果(コンピテンス)として、学生を主語に行動目標で箇条書きにすることが肝要。
  • ディプロマ・ポリシーの個々の項目の達成度をどのように測定するかは、アセスメント・ポリシーとして事前に検討しておく必要がある。
  • ディプロマ・ポリシーの策定には専門家等の指導を受けながら、学部則に書かれた条文をもとに執行部やワーキング・グループでたたき台を作り、その後、教授会に諮るという手続きを踏むことが一般的。

ディプロマ・ポリシーの周知

  • できあがったディプロマ・ポリシーは、広く教職員、学生、受験生に周知することが大切で、ディプロマ・ポリシーの周知の程度を教職員、学生が点検する仕組みも備えておくべきこと。

カリキュラム・ポリシーの策定と活用方法

  • カリキュラム・ポリシーの本質は、カリキュラムがディプロマ・ポリシーを実現するにふさわしいものになっているかを示すこと。
  • 初年次教育の枠組みや教養教育の仕組み、専門教育の特色などを簡潔に説明するとともに、根拠資料としてディプロマ・ポリシーを実現する整合的かつ系統的・体系的なカリキュラムであることを示すための「カリキュラム・マップ」や「カリキュラム・ツリー(履修系統図、ナンバリング)」を策定することが求められる。
  • 重要なことは、「カリキュラム・マップ」で発見された問題点に基づいて次のカリキュラム改訂が行われること。
  • 認証評価が近づいてきたために形だけ整合性のとれた「カリキュラム・マップ」を公開することよりも、CheckとActionが機能している内部質保証システムの構築された組織を目指すことの方が重要。
  • そのためには、学部の執行部やカリキュラム委員等への継続的な意識付けと専門家によるコンサルテーションや学習会が持たれることが肝要。
  • また、学長や教学担当副学長が中心となり、全学的にカリキュラムの開発や改訂、点検や評価のために参照する「教学ガイドライン」等を整備することが望ましい。
教学ガイドライン

まとめにかえて

  • 一貫性のある学士課程教育の構築とは、究極的には各科目成績評価にかかっている。
  • 長期的ルーブリック(カリキュラム・ルーブリック)や学生調査、アセスメント・テストなどの手法を併用すれば、ディプロマ・ポリシーそのものの達成度を別途検証し、自らの大学の教育の質保証を内外にあまねく説明できる。
  • シラバスや授業アンケート、GPAやCAP制など、高等教育に用いられる道具の導入はかなり進んだと言えるが、「一貫性のある学士課程教育とは」、「内部質保証システムの構築とは」といった包括的な概念の理解こそ重要
  • 三つのポリシーの策定は、いったん軌道に乗れば、極めて合理的かつ省力的に改革を進める動力になる。

まとめ

本稿では主として、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーについて述べられている。

この二つは文部科学省の「ガイドライン」によれば、「卒業までに学生が身に付けるべき資質・能力と、それを達成するための具体的な教育課程の編成・実施、学修成果の評価の在り方等を示すものであり、その一体性・整合性が強く求められる」とされている。

アドミッション・ポリシーについては、「ほかの二つのポリシーとの整合性を図りつつも(中略)、その内容が狭い範囲に限定された硬直的なものとなり、受け入れる学生の多様性を損なったり、大学教育の意義を減じたりすることのないよう、各大学において十分に配慮することが求められる」とされている。

3回にわたってご紹介した内容のほか、成績評価、カリキュラム・マップの活用方法、カリキュラム・ツリーの活用、パフォーマンス評価の導入等々についても述べられている。

ぜひご一読いただきたい。

 

(1)いまなぜガイドラインが提言されたのか?

(2)策定の組織・体制

 

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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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