こちらのツイートで知ったエントリーですが、深刻な問題提起として受け止めました。
“若手職員への期待と同じように、若手職員は中堅職員や管理職に対して期待しており、それに応えられることこそが組織を活性化するのだろう” / “若手による業務改善はいずれ行き詰まる。 – 大学職員の書き散らかし…” https://t.co/GjoMF84O3e #大学職員 #ブログ
— high190 (@high190) 2015, 11月 8
若手大学職員による業務改善はいずれ行き詰まる―管理職の役割とは
要約するのは失礼なことかもしれませんが、私なりにまとめたものを以下ご紹介します。
- 業務改善は若手職員が主になって行うものという空気がある。それは必ず行き詰まる。
- その背景には、何物にも染まっていない視点で業務を見つめ非効率的な箇所を改善する方向性がある。若手職員の能力開発という意味もあるのだろう。
しかし、若手職員は経験が浅く、組織の中で立ち回る能力も低いことから、
- 業務改善となると身の回りの「できそうなこと」に傾きがちとなる。
- 「できそうなこと」が刈り尽くされ立ち尽くすか、継続しなかった取組を再度行うループ状態になるかのどちらかになる。
- 若手職員、上司、提案部署が、何のためにやっているか分からなくなる。
という結果になる。
そのために、管理職が動かなければ本当の意味での「業務改善」にはならないとして、以下の3点を提案しておられます。
- 他部署からの業務改善要求に応える。
- 共通テーマを定める。
- 職員を大幅に減らし、必要な業務手順と不要な業務手順を仕分けしなければ業務をこなせないようにする。
そして最後に、嫌な気分になるのは、
- 若手職員への無根拠な期待
であり、若手職員は中堅職員や管理職に対して期待しており、それに応えられるとこそが組織を活性化するのだろう。
と述べておられます。
感想
私の感想は次のとおりです。
若い人たちの不満や改善案を、公式・非公式を問わず吸い上げ、第三者の意見や分析を加えて、全学的に改善できるよう持っていくのが理事会・管理職の仕事です。
改善を若い人たちに丸投げすることではないはずで、このことは無責任といわれても仕方がありません。
この場合の第三者ですが、コンサルや監事だけでなく、もっと視野を広げて考えれば、文科省、私学事業団、大学団体、各種研究会など、この種の相談に応じることのできる機関はいくらもあります。
そういった機関のコンサルティング機能の一層の充実を期待したいものです。
昨今では、企業が大学生の意見を聞くプロジェクトが多くなっていることはご承知のとおりです。
個人的には、このことにもすこし疑問をもっていまして、上記と同じことが言えるのではないかと思っています。
プロとアマチュアではその間に超えられない明確な一線があるはずです。
「何物にも染まっていない=無知(あるいは少ない知識と経験)」から出たアイデアには限界があるのではないでしょうか。
アイデアとは既存の知識と経験の組み合わせですから、無(あるいは少ない知識と経験)から有を生じさせることは困難であるはずです。
もしプロを驚かせるようなビジネスモデルを考えだすような学生がいるとすれば、それはすぐにでも起業できる能力を備えた人材です。
最後になりましたが、「職員を大幅に減らし、必要な業務手順と不要な業務手順を仕分けしなければ業務をこなせないようにする」ことは重要です。
ご本人は「ただのネタですが」とおっしゃっていますが、今後の業界の動向を考えれば、業務に優先順位をつけることは喫緊の課題ではないでしょうか。
学長をはじめとする大学のガバナンスがこのことにも問われていると考えます。
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