京阪神エルマガジン社発行の本書は、あまり知られていないが、お役立ちガイドブックである。
小冊子ながら読みごたえがあり、筆者などは時折書棚から引っぱり出して寝転びながら読んでいる。
文字どおり本書は、「おじさんが京都の街を歩き回って発見したり、思い出したり、なじみの店に顔を出したりした『おじさんの京都』ぶらぶら手帖」(まえがき)である。
それゆえノスタルジックな記述が多いが、それが本書の魅力であり、シニア世代には心地よく感じるのである。
このページの目次
京都嫌いのおじさんの京都歩き
本書には、エッセイが4編収録されている。
- 京都嫌いおじさんの京都歩き(安西水丸)
- 私の中の喫茶店(石田英司)
- 僕的青春の光と影(松山猛)
- マドンナと行く京都(阿部真理子)
なかでも、故安西水丸氏のものが抜群に面白い。
東京で作家の村松友視氏と出会った折の会話。
「京都、好きなの?」
と村松さん。
「いや、別に好きってわけじゃありませんが」
と、ぼく。
「嫌なとこだよね」
村松さんに言われ、「そういうところありますね」とぼくは相槌を打った。
「でもさ、その嫌なとこが、何か好きになってくるんだよね」
この村松さんの最後の言葉ほど、今までぼくがおもっていた京都を表現した言葉はなかった。
村松友視さんらしい、実にみごとな京都表現だった。
東寺、六角堂、寺町通、白川通、丸太町通。それぞれの行きつけのお店が紹介されているが、そのすべてに行ってみたくなる文章がすばらしい。
変化のある旅を求めている方へ
紹介されているお店は、まずほかのガイドブックでは紹介されていないところがほとんどである。
知る人ぞ知る穴場が、一人称で独り言のような滋味深い文章によって、数多く紹介されている。
そういう意味では、これは経験と足で書かれたガイドブックだといえるだろう。
シニア世代だけでなく、ちょっと変化のある旅を楽しみたいと思っている人には参考になるガイドブックだと思う。
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