前回に引き続き、寺裏誠司(学校法人三幸学園 東京未来大学)氏の「大学組織のモチベーション・マネジメント」からのご紹介である。
扇情的なタイトルにしたが、こうならないように、わが国の大学が世界に伍した教育を行うようになることを願ってのことである。
指摘されているのは以下の2点。
1.出口の就職に関する環境
―社会の人材ニーズに追いついていない大学の認識―
2.中身の教育の環境
―Internet Educationは外圧として最も大きい―
それではご紹介しよう。
寺裏誠司(2015):大学組織のモチベーション・マネジメント、モチベーション研究所 報告書、第2号、pp.45-51
このページの目次
教育の変革を進めない日本の大学は外圧に打ちのめされる
出口の就職に関する環境
―社会の人材ニーズに追いついていない大学の認識―
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、企業が求める人材の質は、チームワーク型人材からリーダーシップ型人材に重点が変化している。
言われたことを着実に行動に移せる兵隊型の人材ニーズからモチベーション高く主体的に課題を解決するために行動できる人材ニーズへと質が変化してきている。
しかし、大学の課題認識が適切でないため、企業など社会が求める人材ニーズの変化に対して大学の教育の質の変化は現在も追いついていないし、今後も追いついていかないという懸念が生まれる。
多様な学生が入学している現在、上記のような人材に育成するための大学教育はどう在るべきなのかがまさに問われている。
専門知識を大教室で一方的に伝達するだけの講義、つまり自ら学び成長するのが当然と放置している講義がいまだに一般的なのが大学教育の課題なのである。
中身の教育の環境
―Internet Educationは外圧として最も大きい―
The Open University、edX2、Courseraなどに代表されるInternet Educationがある。
この教育システムの機能変化は、日本の旧来型の大学教育の在り方を変革せざるを得ない外圧として最も大きなものになるかもしれない。
世界が急激に変わってくる中で、日本の知識伝授型に偏った従前の教育では、グローバル社会で活躍できる人材が輩出できるとはとても思えない。
世界そして社会が求める人材ニーズに合致する教育とは何か。効果の高い教育の在り方は何か。先を見据え、抜本的に教育の変化を進める力がない大学は世界的な外圧に容赦なく打ちのめされる。
まとめ
強引にまとめれば、
・知識伝授型ではない、「モチベーション高く主体的に課題を解決するために行動できる人材」を育成するための教育手法に転換することが必要。
ということになろうか。
そうしなければ、「コップのなかの嵐」では済まない「グローバルな嵐」にやがて打ちのめされることになるのかもしれない。
→前回「大学組織のモチベーション・マネジメント―理念による一貫性を持たせること」へ
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