大学組織のモチベーション・マネジメント―理念による一貫性を持たせること

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18歳人口は、2040年には60万人と現在の半分となる。

大学の収容力は約60万人であることを前提にすれば、多くの大学は淘汰され多くの教職員は失業することになる。

寺裏誠司(学校法人三幸学園 東京未来大学)氏は「大学組織のモチベーション・マネジメント」で次のように述べている。

2020年以降の急激な18歳人口減少に対応するためには、従前の改革レベルで乗りきれるものではない。

ではどうすればいいのか?

本論文では、有名ブランド大学、優良校と評価されている大学の共通点を剔出し、その共通点を他の大学に取り入れるためのマネジメント手法がモデル化されている。

それではご紹介しよう。

寺裏誠司(2015):大学組織のモチベーション・マネジメント、モチベーション研究所 報告書、第2号、pp.45-51

大学組織のモチベーション・マネジメント

好循環大学に共通するマネジメント

優良校に共通しているポイントは、理念による一貫性を持たせること。

理念体系に基づく人・組織の情緒的、感情的側面の結束力や一体感の強さや、各人のモチベーションが高められ、それぞれの能力が融合され組織が活性化することによる推進力の強さである。

大学の機能を分担している教職員が同じ教育理念を実現するために同じ目的・方向に向かって行動し、その成果に手ごたえを感じやりがいを持って日々を過ごしている。

全教職員の行動が好循環し組織としての相乗効果を高めている大学は、同じ目的に向かっているため、“場の信頼感”が高く、全教職員が“主体的に仕事に参画”し、互いのコミュニケーションも活性化し個々人のモチベーションが高い職場となっている。

この循環が一度始まると、独自性が生まれ、大学利害関係者から評価されブランドが形成されていく。そして、長い期間を経て、優良校としてのポジションを築いていた。

ミッション・ビジョン共有型のエンロールメント・マネジメント手法

ミッション・ビジョンを共有し理念に一貫性をもたせ大学を運営していくエンロールメント・マネジメント手法であり、大学関係者のモチベーション・マネジメント手法といえる。

これは、多くの大学に共通する組織課題を解決するために有効な手段。

好循環大学に変換するためのポイント

  1. 10年度、20年後の大学を取り巻く環境を共有することで、大きく変革していく必要性を共有する。
  2. 建学の精神と理念体系の再構築を参加型で行いミッションを策定する。
  3. 現状分析を行い現状の課題を明確化する。
  4. 期限を決めた大学の理想像(ビジョン)を構築する。
    →ミッションなしにビジョンを構築すると方向性が定まらずに声の大きな者のビジョンになってしまう。
  5. ビジョンを実現するための戦略・中期目標計画を策定し実行計画を策定する。
  6. 実行評価計画を策定し成果の共有と計画の修正を継続的に実施する。
    →成果について評価するフィードバックグループを構築することが重要。

まとめ

学長をトップとしたガバナンス体制も、3つのポリシーも、すべてこのミッションに収斂させなければならないのだろう。

寺裏氏も述べているように、大学では教授会自治をはじめとして、個別最適を最重要視し、大学としての全体最適を無視するという風土体質がある。

したがって、どんなに各部署がバラバラに頑張っているとしても、大学全体としての発展にはつながらない可能性がある。

個別最適+個別最適≠全体最適、であるからである。

ひとつの目標に全教職員が夢をもって突き進む大学。

そのような大学が、今も昔も評価される大学なのかもしれない。

 

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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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