イチローの発言には感心することが多い。その哲学的ともいえる表現に注目してしまうのである。
たんに天才の発言だから、とばかりはいえない。凡人の私たちにも当てはまる発言も多いように思うのである。
本来のバランスを保つこと
この取材でも興味深い発言を行っている。
たとえばウェイトトレーニングをして身体を大きくすることについて。
時間がない方のために、テキストでご紹介しておこう。
持って生まれたバランスを崩してはダメ。
本来のバランスを保ってないと、筋肉が大きくなってもそれを支えている関節とか腱は鍛えられない。
だから壊れちゃう。重さに耐えられないから。
若いころはシーズン前にウェイトトレーニングをガンガンやっていたというイチローだが、シーズン初期がいちばん動きが悪くスイングスピードも遅かったそうだ。
それがシーズンが進み、ムダな筋肉がなくなってくると、本来の動きができるようになり、スイングスピードも上がるようになってくる。
そういう状態を何年間か経験し、学んだそうだ。
現在は初動負荷トレーニングという、筋肉の肥大と硬化をもたらさないトレーニングを行い、球場には自分専用のマシンを設置しているというのは有名な話だ。
遠回りすることが一番近道
さて、本稿でいちばん強調したいところをご紹介しよう。
今はそういった知識がありすぎる時代だが、それを利用することで最短でいける可能性があるのでは?
という質問に、
「無理だと思います」
と答えている。
失敗をしないでたどり着く。全くミスなしでそこにたどり着いたとしても深みは出ない。
遠回りってすごく大事。
ムダなことって結局ムダじゃない。
あとから思うとムダだったと思うことはすごく大事なこと。
合理的な考え方ってすごく嫌い。
遠回りすることが一番近道。
まとめ
ともすれば、目標を実現するために、まず近道を探そうとする私たち。
そういった合理的な方法が礼賛されることも多い。
だが、私たちは結局ムダから学ぶことしかできないのではないか。
人生はトライ&エラーだという。
失敗から何を学ぶか、が大事だということだろう。
PDCAを回せ、ということも、つまりこのことを言っているのではないか。
失敗を検証し、つぎのアクションにつなげる。
つねに「絶対安全地帯」にいてリスクのある行動を起こさない人には、安心はあっても深みはないと思うのである。
行動しないとムダも出ない。
だからムダがあるということは、多くのリスクのある行動を起こした勇気の証(あかし)なのだ。
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