私立大学の経営・政策課題ー18歳人口減少のインパクト|両角亜希子氏の論稿から

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大学経営を革新する

お二人の紹介で知った統計研究会の「ECO-FORUM」Vol.31, No.2(January 2016)。

特集テーマは「大学経営を革新する」です。

ここでは、両角亜希子氏の論稿をご紹介します。

18歳人口減少と私学経営・政策の課題

18歳人口減少のインパクト

今後10年の私学の定員充足率の将来推計については、上記サイトの本文をご覧ください。

  • 18歳人口は、青森県で72%と最も減少し、逆に神奈川県、沖縄県で99%と減少幅が最も小さい。
  • 18歳人口の減少で私大の経営危機ばかり強調されるが、国公立大学の規模の問題とあわせて議論する必要がある。
  • どのような推計方法をとるにせよ、18歳人口の減少のインパクトは大きく、地域によっては厳しさの度合いが異なる。
  • 地方の女子の大学進学率が低いが、女子は地元志向が強い傾向があり、地元の女子を惹きつけることは、個々の大学の戦略上の選択肢としても重要
  • 留学生や社会人といった新しいマーケットの取り組みは、大学だけの努力で、大幅に増加させることは難しい。
  • 今後も18歳マーケットを中心に学生獲得の努力をしていくことが必須。



私学経営の課題

  • 大学の経営改革を行うために、何が必要なのかは、それぞれの大学の事情に応じて、総合的に判断して、それを実現する力が必要であり、そのためには、経営人材の育成が急務。
  • 日本の大学で専門職化が遅れているのは、むしろ教員出身の管理職。教員仲間の中から経験豊富で、教育者・研究者として尊敬を集める人が輪番制でトップを務める傾向があったし、以前はそれで問題なく運営できる大学も多かった。しかしながら、経営環境が非常に厳しくなっており、いまやそれでは通用しなくなってきた。
  • 資源が限られている小規模大学こそ、連携をもっと積極的に活用したほうがよい。
  • 小規模大学では、教職員の研修の機会が少なく、教職員の出入りが少ない。人材育成・交流の面での連携を進めることが、多くの大学をより強くする上で有効

私学政策の課題

  • 定員管理の厳格化は、地方小規模大学の生き残りには、その効果は限定的。
  • 大学の規模自体を拡大することは禁止されていない
  • 大手私大も、定員自体を拡大させる選択肢が最も現実味がある。
  • 都市部の大規模大学と地方小規模大学では、異なる学力層を受け入れており、大規模大学の間口が減ったところで、彼らが小規模大学へ向う保証はない。
  • 近年、本当に厳しい地方私大で、公立化を選択するケースが出ている。
  • 公私協力型で作られた私大でも検討をしている大学が増えている。
  • 今後の私学政策について、より積極的な差別化という観点はもう少し強調されていってもよい
  • たとえば、
    ・大学進学率の地域間格差の是正
    ・地域振興のための地域拠点大学の形成
    ・地域の拠点私大を育てて、連携の拠点とする
    ・その地域から小さな大学が撤退することで地域が決定的なダメージを受けるようなケースは手厚く補助する
    など。
  • 学力があるにもかかわらず、進学を断念している高校生への奨学金政策、補助金政策を通じた授業料の値下げ誘導も引き続き重要。

まとめ

両角氏は、大学が社会からの支援を引き出すためにも、質の高い教育を行い、社会に出てから役立つ能力を身につけさせ、そうした実感を、教育を受けた本人や彼らを雇用した企業に持たせていくことが重要だとし、続けて以下のように述べておられます。

現代の大学教育はそうした点に課題があるし、(中略)高い投資・リスクに見合った価値を大学は提供しなければならないし、それを社会に示す義務もある。こうした課題に大学が応えられるかが、今後の厳しい環境の中で発展できるかに関わっており、個々の経営問題であると同時に、大学全体に突きつけられている課題と言えるだろう。

高度成長期よりこのかた、殿様商売にあぐらをかいてきたツケが、少子化によってついに回ってきたわが国の大学。

大学の存在が自明のものではなくなってきたように思われるいま、投資に見合った価値を提供することこそがその使命だと考えます。

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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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