卒業論文の書き方を訓練することは、社会人の不可欠なスキル

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論文を書くことの重要性

インタビュアー
お元気ですか?
瀬田
ええ、ぼちぼちやっています。
インタビュアー
ブログの更新、最近少ないですね。
瀬田
あっ、ブログね。いまはいろいろな意味でリニューアル中なんですよ。このことについては、あらためてお話ししたいと思っています。
インタビュアー
きょうのテーマは何でしょうか。
瀬田
先日、『優秀論文作成術』川﨑 剛著(勁草書房)という本を読んだのですが、そこに論文を書くことの重要性についての記述があったので、ご紹介したいと思います。
インタビュアー
論文ですか。大学院生や研究者が対象になりますね。
瀬田
それがそうではない、という話なんですよ。
インタビュアー
では順を追ってご紹介いただきましょう。

『優秀論文作成術』から

瀬田
まずは、北米の大学での例が紹介されています。
「北米の大学では、3・4年生では1科目につき1本、論文を書くのが普通。これがTerm Paperと呼ばれるもの」と。
ちなみに日本の卒業論文にあたるものは、Hornors ThesisやSenior Thesisと呼ばれるそうです。
インタビュアー
1科目につき1本論文を書くんですか!大変です。
瀬田
だから、1学期に3科目履修しているとして、1年を2学期で計算すれば、3・4年生の2年間で総計12本書くことになります。
インタビュアー
分量はどのぐらいですか?
瀬田
A4で20Pぐらいらしいですよ。
インタビュアー
かなり多いですよね。
瀬田
そうですね。
それを3・4年生の2年間で12本執筆しなきゃならない。
インタビュアー
どの大学でもそうなんですか?
瀬田
こう述べられています。

北米の大学においては学部生でも論文執筆訓練が欠かせない。

インタビュアー
ほとんどの大学でそうなんですね。
瀬田
そればかりじゃないんです。
「実はこれらの訓練、北米では小学校から始まっている」とあります。
インタビュアー
小学校から!
そこまで重要視する理由って何なんでしょうか?
瀬田
理由についてはこうあります。

その底に潜む考え方は、「体系的に議論を書くことができる人材=自力で考えぬくことができる人材=問題を指摘し解決策を提示することによって組織や社会をリードできる人材」を養成するという発想であり、問題発見能力や解決策提示能力、さらには計画能力といった技能を訓練する絶好の道具が論文執筆。

インタビュアー
そういえば、近年、問題解決能力が大事ということをよく聞きますね。
瀬田
引用ばかりで申し訳ありませんが、「卒業論文作成の一般的教育効果」として、つぎのように述べられています。

複雑な事柄を整理し、書くという作業は実は「『問題と解決』の枠組みのなかで自力で考え抜く」という作業であり、この知的訓練の重要さは強調しすぎることができない。

効果的な文書を作成する作業、その学問版こそが学術論文。

瀬田
そして、卒業論文を学部教育の頂点と位置づけて、その重要性について、つぎのように述べられているんですよ。
これは重要な指摘です。

「普通の学生」にとっても卒業論文を頂点とする学部教育が重要な意味を持っているし、そのような学部教育を通じて、教授陣は研究活動以外にも社会に重要な貢献を果たしている。

文系教授陣からみれば、「普通の学部生」に対する教育は研究活動のつけたしや雑務ではない。大多数の学部生にとっても学術論文作成ノーハウは卒業後、社会人として生きていくのに不可欠なスキル。

論文の書き方をどう学ぶのか?

インタビュアー
最近は卒業論文が必須でない大学や学部もあるように聞きますが。
瀬田
こういう重要性を理解した上でいえば、それは致命的なことですね。大学でいちばん重要なことを学んでいないのですから。
インタビュアー
そう思わざるをえませんね。
そういう本来の方向に向かういい方法はないのかしら。
瀬田
北米の大学のマネをするのが早道だと思いますが、そんなことが可能かどうかですね。
私も学生時代に「論文の書き方」を教えてもらったことはありません。『MLA Handbook』なんかを読んで独学していました。理系はこの辺りはきちんとしているから、また違うんでしょうけど。
インタビュアー
いまでも教えていないんでしょうか?
瀬田
正確にはわかりません。でも人文社会科学系で教えているところはあるのかな?ごく僅かだと思うんですけど。
ライティング・センターって近年多く設置されていますよね。あれって「文章の書き方」が主で、もっぱらエントリーシートの添削指導が多いと聞きましたが。だから、エントリーシート云々はともかく、本来のライティング・センターじゃないような気がします。
インタビュアー
どうしたらいいのでしょうか?
瀬田
教員が本格的に教えるようになることですね。その道のプロですから。
初年次教育で基礎の基礎から教える必要がありますよね。資料収集から仮説の立て方、論文執筆のノウハウまで。
よく「大学入門ゼミ」や「基礎ゼミ」といった初年次教育科目で何をやっていいか困っておられるような教員を見受けますけど、こういうことをわかりやすく半年なり1年間かけて教えていただくといいと思いますけどね。だって、これらを会得すれば社会人としてかなりのアドバンテージになりますからね。そういう意味では小手先の就活テクニックなどよりはるかに就職には有利だと思いますよ。
インタビュアー
そういう教育をしている大学はないのでしょうか?
瀬田
熱心に教育をされている大学は近年多くなっているとは思います。
なかでも国際教養大学ではないでしょうか。あれだけ短期間のうちにトップ大学に上り詰めたということは、この辺りの教育も熱心にされているのでしょう。たとえ、寮教育、英語、リベラルアーツといったほかのファクターがあったとしても、最終目標を「『問題と解決』の枠組みのなかで自力で考え抜く」人材養成あたりに設定されているのではないでしょうか。

社会人にも必須の能力 SDにも必要

インタビュアー
きょうは勉強になりました。
瀬田
いえいえ、最後は喋りすぎました。
ひとつだけ付け足して述べておきたいことがあります。
インタビュアー
はい、これで最後ですね。
瀬田
きょうのテーマは学生だけでなく、職員のSDにも必要なことですよね。そう思いませんか?
「体系的に議論を書くことができる人材=自力で考えぬくことができる人材=問題を指摘し解決策を提示することによって組織や社会をリードできる人材」を養成すること。
これが本来の職員の能力開発だと思います。もちろん大学職員だけでなく社会人全員に当てはまりますよね。いま・これからの時代に必要な能力はこれですね。ひらたくいえば、インプット以上にアウトプットできる能力になりますか。
インタビュアー
また、よろしくお願いします。
瀬田
はい、どうも失礼しました。
さようなら。
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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