卒業生の卒業後の追跡調査を行っている大学はどのくらいあるのでしょうか。
近いうちに義務化されると聞いたことがあるのですが、どうなっているのでしょうか。
大学卒業から就職まで「ストレーター」はわずか3割
山本繁氏の『つまづかない大学選びのルール』からの引用です。
「大学がもし100人の村だったら」として、新入生100人の卒業後3年後までの動向はこうなります。
- 中退 12人
- 留年 13人
- 就職失敗または進学 30人
- 就職後3年以内に離職 14人
- 就職後3年以上継続 31人
大学を4年間で卒業し、就職後の3年間に離職しない、いわゆる「ストレーター」といわれる卒業生はわずか3割だということです。
この数字は平均値だと思われますから、大学ごとに増減はもちろんあると思いますが、それにしてもストレーターは少ないですね。
卒業後3年以内の離職率が約3割であることは、以下の厚生労働省の調査でも裏付けられます。
職業人生全体を視野に入れたキャリア教育を
「100人の村」によれば、留年せず卒業し、就職した学生数は、100人のうちわずか45人です。この45人の就職内定率をもって、これが「就職に強い」大学の宣伝材料になるわけです。
さらにこの45人は、3年後には32人以下になります。
卒業時の就職実績だけをアピールすることに、もはや大した意味はないと考えます。
世間の就職状況については、多くの保護者は現実を知っています。
それよりも、大学は卒業生の追跡調査を行う必要があります。
それぞれの大学は、卒業生の卒業後3年間の離職状況を把握すべきです。
キャリア教育とは、職業人生全体を対象にしたものであるはずです。その必要性は上記のデータ等で明らかです。
近年、第二新卒へのキャリア相談を行う大学や企業が増えてきましたが、まだ新卒一括採用のほうに関心が向いているのが現状です。
企業寿命が10年といわれる時代に、今後は、生涯のうちに数回転職することが普通になるかもしれません。初職の決定率だけで「就職に強い」などとどうして言えるでしょうか。
こうした現状を踏まえたキャリア教育が、大学にはさらに強く望まれます。
- 作者:山本 繁
- 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2013-03-01
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