「教務人材の育成」上西浩司(豊橋技術科学大学 入試課長/大学職員論)
要点
1.はじめに
- 中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」での職員のSDについての言及は、大学職員に対する認識の転換、再評価
2.プロフェッショナル化
- アメリカの大学では、幅広く管理運営職の養成を行っていて、さらに高等教育の研究者養成もあわせて行っている。
- アメリカの大学職員は、大学職員となった後、当該部門の知識・スキルをOJTや自己研鑚等で確立している。
3.日本の教務担当職員
- 教務人材の育成において、
1)人事異動範囲が全学的である
2)部門の専門性よりも大学全体の幅広い知識・経験が重視されている
という現状があり、大学の人事政策では”ゼネラリスト志向”というべき特徴がある。
4.教務人材の育成
- OJTの中で利用できる参考書的な冊子が必要
- 大学を越えた教務担当職員のネットワークの存在は重要
5.今後の課題
- 今後は、各大学の人事政策、職員自身の意識改革、大学間を横串する教務系専門団体などを有機的に結びつけた教務人材育成システムを構築していくことが求められる。
感想
「学士課程答申」は「大学院等で専門的教育を受けた職員が相当程度いることが、職員と教員とが協働して実りある大学改革を実行する上で必要条件になってくる」と述べている一方で、大学の人事政策は(ごく一部の職種を除けば)ゼネラリスト志向です。ここに大きな齟齬が生じています。
教務支援系の高度専門職としては、
- IRer
- FDer
- カリキュラム・コーディネーター
需要が生じてきているものに、
- インストラクショナル・デザイナー(教育方法の改革の実践を支える)
などがあります。
自前で育成するにせよ、外部から採用するにせよ、人事政策の根本的な変革は避けられないように感じます。教務人材の育成のみならず、大学職員全体の人事政策は大きな転換期を迎えていると考えます。
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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!
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