大学職員像を問う―新しく要求される大学職員像、その形成に必要なものは?(5)

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「企業との比較における大学職員」吉武博通(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授/経営理論、大学経営論)

こんにちは。大阪は朝から雨です。きょうは涼しくなるそうですが、湿度が高いせいか、あまり涼しさは感じません。梅雨で体調を崩されている人も多いようです。皆さまもお気をつけください。

さて、今回は吉武博通氏の論稿ですが、いつもに増して引用ばかりとなってしまいました。すこしでもお役に立てばいいのですが・・・。

要約

1.「公の性質」の大学と、厳しい環境を生き抜いた企業

  • 企業の場合、製品やサービスの質が、売上や利益といった目に見える成果に結びつきやすい。それがインセンティブとなって、個々人の能力が引き出され、組織的協働が促進されるという面があることは、大学との違いとして考慮しておく必要がある。

2.職員の役割に関する認識の統一と定着が課題

  • 職員の役割が広範かつ高度化し、その期待に応えるべく大学の多様な業務に能動的に関わる職員も増えてきている。
  • 職員の役割を事務や支援として限定的に捉える体質が根強く残っている面もある。
  • 職員の役割に関する認識の統一と定着は大学の大きな課題

3.一貫した方針に基づく人事マネジメントの重要性

  • 期待する人材像を明らかにし、それに基づいて配置・育成を行い、予め定めた基準に基づいて評価・処遇を行うというプロセスが一貫した方針のもとに設計され、適切に運用されること

4.人事に関する信頼なしに能力を引き出すことはできない

  • 期待される役割や将来のキャリア見通しを、大学が明確に示せているか疑問
  • 期待する人材像を明確にした上で、それに基づいた配置・育成、評価処遇が、一貫した方針のもとに公平かつ適切に行われるということである。人事に関する信頼なしに、いかなる組織もその構成員の能力を最大限に引き出すことはできない。

5.求められる革新的・自発的行動

  • 多様化する課題に能動的に取り組み、新たな仕組みや方式を創造し、絶えず改善を重ねながら質の高度化と効率化を追求する、という状態に組織全体を引き上げていく必要
  • 優れた実践を行ってきた企業との比較を通して、大学の課題を考えることの意味は大きい。

6.掘り下げて筋道立てて考える力を身につける

  • 大企業の社員に特徴的なことは、日々新聞に目を通し、様々なジャンルの本を読み、人の話と聞き、常に関心の幅を広げようとしている点
  • 関心の幅を広げることで、自分の会社、所属部門、自身の職務などを、社会との関わりや他との比較を通して客観的に捉え直すことができる。それが新たな課題の発見やボトムアップの提案につながっている。
  • 大学では、規則や前例、トップや文部科学省の意向などを理由に自ら思考を停止してしまう場面が多く見られる。
  • 誰のための何を目的とした職務であるか、何を優先に考えるべきかを明確にし、常にその原点に立ち返らなければならない。
  • 物事を掘り下げて考える習慣や筋道立てて考える力を身につけることは特に重要
  • ITは大学職員の職務を大きく変える可能性を有している。
  • 先進的な事例を学びながら、自校でどう活用するかについて部門を超えて検討させることは、貴重な人材育成の場

7.大学が職員の成長を促す学習の場となり得ているか

  • 仕事上の経験は「経験学習」、周囲の人々からの薫陶は「職場学習」
  • それぞれの大学が、経験学習と職場学習に相応しい場となり得ているか、あらためて問い直してみる必要
  • 個々の職員に何を期待するか、その役割と責任を明確に示し、自らロールモデルとして薫陶を与えることのできる部課長が育っているかは、最も重要なポイント
  • 現在の部課長層のマネジメント能力をどう高めるかは、より差し迫った課題

感想:人事に関する信頼なしに、いかなる組織もその構成員の能力を最大限に引き出すことはできない。

私が重要だと思ったことは、以下のとおりです。

【職員】
・教養を身につけ、物事を掘り下げて考える姿勢や筋道立てて考える力を身につける。
・革新的・自発的行動が求められる。自律すること、と言い換えてもいいかもしれません。
・部課長層のマネジメント能力を高めることは差し迫った課題

【大学】
・職員の役割に関する認識の統一と定着を
・期待されている役割や将来のキャリアの見通しを明確に示す。

心に刺さった上記の言葉を再度引用します。

期待する人材像を明確にした上で、それに基づいた配置・育成、評価処遇が、一貫した方針のもとに公平かつ適切に行われるということである。人事に関する信頼なしに、いかなる組織もその構成員の能力を最大限に引き出すことはできない。

余計なことに神経を煩わされることなく、業務に集中できる環境づくりはもっとも大切なことです。

構成員全員がやり甲斐をもってノビノビと働くことは、たとえ競争社会であっても可能ではないでしょうか。人事異動で唇を噛みしめたり、涙を流すような人間がいることは不幸です。

とりわけ若い人たちには、未来に希望のもてるような職場にしなければなりません。そのためには信頼できる人事が必須だと考えます。

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大学職員ブロガーです。テーマは「大学職員のインプットとアウトプット」です。【経歴】 大学卒業後、関西にある私立大学へ奉職し、41年間勤めました。 退職後も、大学職員の自己啓発や勉強のお手伝いをし、未来に希望のもてる大学職員を増やすことができればいいなと考えています。【趣味】読書・音楽(主にジャズとクラシック)・旅 【信条】 健康第一であと10年!

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