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はじめに
「IDE現代の高等教育」No.583(2016年8-9月号)をめくっていると、「一滴」というコラムの「職員問題のいま」と題する記事が目についた。
匿名コラムである。
内容はこうである。
最近、経営陣や教員の役割・意識を研究する職員が増えているが、その流れは自然なことである。
(職員の)活躍する機会があってこそ、成長へのインセンティブや責任感も出てくる。
経営陣の意識を変えていかなければ、そういった熱心な職員はバーンアウトする。
それでは、以下ご紹介しよう。
職員問題のいま
経営陣や教員の役割・意識を研究してみたいという職員が増えている
以前は職員の役割や再認識、そのために能力や専門性をいかに向上させられるか、が関心の中心だった。
教職協働のためには、教員の理解や変化も必要で、そのためのきっかけを創りだすキーパーソンとしての経営陣の無理解に意識がシフトしていくのは自然なこと。
活躍の機会があってこそ
職員として頑張り、最終的に理事等での立場で経営の中核として参加できる道は開かれているのか。
委員会等では、裏方メンバーとしてではなく、正式メンバーとして参加しているのか。
機会があってこそ、成長へのインセンティブや責任感も出てくる。
経営陣の意識も変えていかねば、熱心な職員はバーンアウトする
若い熱心な職員が、大学全体のマネジメントを向上させるための様々なアクターや諸要因の関係に目を向きはじめたことはよい変化だが、経営陣の意識も同時に変えていかねば、バーンアウトするのではないか。
まとめ
大学のマネジメント層への指摘が、昨今厳しいように感じる。
たとえば、「私立大学等の振興に関する検討会議」の第7回配布資料の1「 私立大学等のガバナンスの在り方に関する主な論点について」がある。
ここでは、理事(会)、監事、評議員がそれぞれの役割を十全に果たすためには、どのような制度の改善が必要かということについて、社会福祉法人等の制度と比較しながら、厳しくも当然の指摘がされている。
経営陣の意識を変える、とは具体的にどういうことを指すのだろうか。
これは人によってさまざまな意見が出るにちがいない。上記のコラム氏も具体的には指摘していない。
すべては人事の問題だと筆者は考えるが、そのことについては、ここでは深入りしないことにする。
もうひとつ大事なことは、
- 将来のビジョンを示すこと
だと考える。
それは、かならずしも「中長期計画」というものを指すものではない。構成員全員がやり甲斐をもって向かうことのできる目標のことである。
将来のビジョンが示されてこそ、歩きはじめることができる。目的がない職業人生は、登る山が見つからない登山と同じで、遭難してしまうからである。
2028年以降は、18歳人口の減少とほぼ同じペースで、私立大学の統廃合が進み、国公私を超えた統廃合という予測もある。
いま、若手職員を中心に感じているであろう将来への不安を払拭するような動機づけを、マネジメント層は行わねばならない。
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