9月に発売される村上春樹氏の新刊ですが、標題のように紀伊國屋書店が9割(!)買い取りするそうです。
報道によれば、
通常、書籍は出版社から取次会社を経て書店に配本される。しかし、今回のケースでは初版10万部のうちの9万部を紀伊國屋書店が出版社から直接買い付け、自社の店舗や取次に流す。話題となりそうな書籍を買い占めることで、「紀伊國屋に行かないと売っていない」という状況を作るのが目的。紀伊國屋にとっては在庫リスクを抱えることになるが、Amazonなどネット書店に対抗するために新しい方法に踏み切った。
さらに、
「街の書店に、注目の新刊がなかなか行き渡らない現状がある。ネット書店に対抗し、全国のリアル書店が一丸となって出版流通市場の活性化をはかりたい」
とあります。
業界を大学にして考えてみます。出版業界には再販制度という重要な問題がありますが、ここではそういった特殊な事情は捨象して考えてみます。
たとえば、ネット大学が抬頭してきたときに、キャンパスを持つ大学が、受験生を何らかの方法で囲いこみ独占してしまう、ということになりますか。
こういった対応は、かなり難しいように思われます。
以前こちらでもご紹介したように、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社長・増田宗昭氏はこう述べています。
これから、コンビニエンスストアでも巨大モールでもないリアル店舗が、ネットに対して優位性を持てるとすれば、それは居心地よさの提供という面においてだろう。
同社の蔦屋書店は繁盛しているそうですから、このコンセプトは正しいのではないでしょうか。
大学も「キャンパスを持つことにどういう意味があるのか」ということについて、真剣に考えねばならない時代に入ったのではないでしょうか。
ところで、柴田元幸氏が責任編集の「MONKEY」に連載されていた上記の新刊。私も愛読していたので、単行本はぜひ買い求めたいのです。
アマゾンでは予約注文はしていませんので、紀伊國屋書店に行くのが手っ取り早いのでしょうか。う〜ん困りました。揉め事の嫌いな(と思われる)村上氏も困っておられるでしょう。
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