はじめに
読売新聞の「大学の実力」検索サイトが公開されました。
早速、NPO法人NEWVERY理事長の山本繁氏、「Clear Consideration(大学職員の教育分析)」のhigh190氏のお二人がコンテンツをアップされています。
すでに多くの方々がご覧になっているとは思いますが、一人でも多くの方に良質な情報をお知らせするのがこのサイトのミッションです。
私なりにまとめたものを以下ご紹介します。
「読売新聞、グッジョブ!ついに、大学間の教育情報の比較が可能に」
山本繁氏のブログからです。
- 偏差値/知名度/アクセス/広報の上手さ(教育力とは関係のないモノサシ)
↓
教育力/教育内容/入試広報におけるマッチング力(自校に合った学生をセレクションする能力)
↓
受ける教育の価値に直結する情報による大学選び、へ一歩前進
- 職業教育実践課程認定校の中退率を含む教育情報の公表が義務付けられ、施行されていることや、Weekday Campus Visit(WCV)の広がり。
- 優れた教育活動をしている大学が報われる高等教育マーケットに向け着実に前進している。
- マーケット(顧客)が変われば、サプライヤーは変わる。
そして、こう結んでおられます。
いい教育をしている大学が適正に評価される社会が早く来てほしいなーとつくづく思います。大学はお金はあるんですよ。ただ、学生募集にお金がかかり過ぎているんです。イメージ重視の広告宣伝活動が無意味になれば、結果として学生募集予算を減らすことは可能です。
読売新聞社の“「大学の実力」検索・WEB版”から大学ポートレートのあるべき姿を展望する
high190氏のブログからです。
- 複数の大学を一覧表示で比較できるのは分かりやすくていい。
- アメリカのCollege Portraitsのように単一ページに数字が一覧で表示される方が使いやすい。
- 本来この役割を担うものが大学ポートレートではなかったか?
- 大学ポートレートでは、大学間の比較ができない。
- 構築には国家予算を投入しているのだから、質保証に繋がっているかどうかを政策的に検証していく必要がある。
- 真に利用されるための公的データを目指して、大学ポートレートの進化に期待したい。
まとめ
大学ポートレートについて、金子元久先生の中教審大学分科会組織運営部会での発言が引用されていますが、そのなかで金子先生は、「従来の秩序を壊したくないというプレッシャー」が働いていると指摘されています。
そういえば、掲載項目の選定の際、「うちの大学を潰すのか」という発言があったと何かで読んだ記憶があります。
「都合の悪い情報」は公表したくない、学生募集に悪影響がある、と考えている大学は多いのでしょう。
「教育力/教育内容/入試広報におけるマッチング力」への転換ですが、大学は横並び気質が強いですから、他大学の成功事例が出てくれば、一挙に広がる可能性はあると思います。
そして、マーケットという「外圧」があれば変わらざるを得ないようになるのかも知れません。
一方で、ブルーオーシャンにおける先行者利益ということもあります。
まだ競争相手がやっていない時期に実施しておけば、追いつけないくらい先行できるかも知れません。そうありたいものです。
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